マネジメントメッセージ

マネジメント・メッセージ 2022年5月(2/5)

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本年は創業者の二十三回忌にあたる。創業者が私たちの会社を起業するきっかけを作ってくれた創業者の義父の七十回忌にもあたる。
回忌には何か不思議なことが起こるもので、先日本当にたまたま、創業者が小学校一年生の頃の写真が見つかった。そのアルバムにはあわせて、創業者の義父のかなり格好の良い晩年の写真もあった。
また私の母方の親戚から、創業者がその方に宛てた長文の手紙をいただいた。
その手紙には創業者の半生、会社を興してからの苦労話が綴られていた。

創業者は崇高な人間だった。
ストイックで私欲の少ない、真面目で勉強熱心な男だった。なかなかのアイデアマンでもあり、戦前海軍のエリートであったこともあり、起業後も周囲から一目を置かれていた。社員からもおそらく尊敬されていたと想像する。
しかし一方で、前述の創業者の手紙によると、創業者には社員に顧客を奪われ独立されるなどの苦労が数多くあった。不良在庫や未回収金が積み上がることも多く、社員による横領も2度や3度では済まなかった。

周囲に一目を置かれ、社員にも尊敬されていた創業者が、何故このような目に遭っていたのか。
崇高な人間でありすぎて、自身が大切にしている崇高な価値観を社員に伝えることが出来ていなかったのではないか。
価値観を伝えていたとしても、出すべき成果や結果に直結する具体的行動を示せていなかったのではないか。
それとも、戦争で生き残った創業者をうらやむ戦死者たちの念を受けてしまっていたのではないか。
そのようなことを考える最近である。