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工場外壁コーキング打ち直し工事の完全ガイド


工場現場の責任者・作業員の皆さまへ。工場建屋の外壁コーキングが劣化すると、生産設備や内部環境に深刻なダメージを与えます。本コラムでは、政府公的資料を根拠に、打ち直し工事の課題と解決策をわかりやすく解説します。

1.工場外壁のコーキングとは何か――国土交通省「公共建築工事標準仕様書」が定める「目地充填による防水・気密機能」

工場建屋の外壁をよく見ると、パネルとパネルのつなぎ目や、サッシ(窓枠)と壁材の境目に、ゴム状の充填材が施されているのがわかります。これが「コーキング」、あるいは「シーリング」と呼ばれるものです。現場では両方の呼び名が混在していますが、いずれも外壁の目地や隙間に充填して、防水性・気密性を確保するための材料を指しています。

国土交通省が定める「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」では、このコーキング(シーリング)について、「不定形弾性シーリング材を用い、部材の接合部・目地部の充填等のシーリングに適用する」と明記しています。つまり、コーキングは単なる「隙間埋め」ではなく、建物の防水・気密という重要な構造的役割を担う工事として位置づけられています。

工場の生産ラインでは、雨水や外気の侵入が生産設備の腐食を引き起こし、製品の品質低下や操業停止という深刻な課題につながる恐れがあります。そのため、コーキングのメンテナンスは「施設管理の後回し事項」ではなく、生産を守るための最前線の課題解決手段として捉えることが重要です。

さらに、コーキングには防音・断熱の補助的な機能もあり、工場内の環境維持にも貢献しています。工場現場責任者が把握しておくべき最初の知識として、「コーキングが機能しなくなった時点で、建物の防水ラインが失われる」という事実をしっかりと認識してください。

工場工事センター匠.comでは、こうした工場固有の防水ラインの課題に対して、外壁の状態を現地で確認した上で最適な打ち直し工事の解決策をご提案しています。

2.工場建屋の外壁目地が傷む3つの主因――振動・熱伸縮・薬液飛散が一般建築より劣化を加速させる理由

工場建屋のコーキングが一般の建物より早く劣化する背景には、工場特有の使用環境があります。独立行政法人建築研究所が発行した「建築研究資料No.145」(第5章 防水)では、シーリング防水の劣化について、その要因を体系的に整理しています。工場現場ではこれらの要因が複合的に重なることで、劣化がさらに促進されます。

まず第一の主因は「振動」です。プレス機・コンプレッサー・大型搬送設備などが稼働する工場では、建物全体が常時微細な振動にさらされています。このような繰り返し振動は、外壁の目地部分に繰り返し変形を与え続け、コーキング材の疲労破断を招きます。一般の事務所や倉庫とは比べ物にならない頻度で目地が動くため、劣化のスピードが根本的に異なります。

第二の主因は「熱伸縮」です。工場の屋根や外壁には鋼板系の材料が多く使われており、夏場の日射による温度上昇と冬場の温度低下によって、パネルが大きく伸縮します。この伸縮によってコーキング材は引張・圧縮の繰り返し負荷を受け続け、弾性が失われてひび割れや剥離が生じます。特に南面・西面の外壁は日射の影響が強く、劣化が早い傾向があります。

第三の主因は「薬液・油分・粉じんの飛散」です。化学品を扱う工場や食品工場・金属加工工場では、有機溶剤・切削油・洗浄剤などがコーキング表面に付着し、材料を変質・膨潤させる場合があります。また粉じんが目地に堆積することで、水分の滞留が起きてさらに劣化を加速させます。

これら3つの主因が重なる工場建屋では、コーキングのメンテナンスサイクルを一般建築の基準でそのまま当てはめることには注意が必要です。工場工事センター匠.comでは、工場固有の稼働環境をヒアリングした上で、劣化リスクの高い箇所を優先した打ち直し工事の計画をご提案しています。


3.コーキングの劣化サインを見逃さない――建築研究所が整理する「ひび割れ・破断・剥離・ふくれ」の段階的劣化メカニズム

工場建屋のコーキングが劣化する際には、段階的なサインが現れます。独立行政法人建築研究所「建築研究資料No.145」(第5章 防水)では、シーリング防水の劣化現象を「ひび割れ」「破断」「剥離」「ふくれ」「汚染・変色」などに分類しており、それぞれのメカニズムを解説しています。工場現場の担当者がこれらのサインを早期に把握することが、大きな課題を未然に防ぐ第一歩です。

「ひび割れ」は最初に現れる劣化サインであり、コーキング表面が紫外線や温度変化によって硬化し、細かな亀裂が走る状態です。この段階では防水機能はまだ完全には失われていませんが、放置すると亀裂が深く進行します。「破断」はひび割れが目地底まで達して完全に割れた状態であり、ここで初めて雨水が建物内部に侵入するリスクが生じます。

「剥離」とは、コーキング材が外壁パネルや窓枠から剥がれてしまう現象です。下地の清掃が不十分だったり、プライマー(接着剤の役割をする下処理材)の処理が不適切だったりした場合に起きやすく、コーキング材の端部から雨水が入り込む課題につながります。「ふくれ」は、目地内部に湿気が侵入して、コーキング材が外側に膨れ上がる現象です。見た目でわかる変形であるため、現場巡回の際に比較的発見しやすいサインです。

工場現場の作業員が定期的に外壁を目視点検する際は、これらの劣化サインを順番に頭に入れて確認する習慣をつけることを推奨します。特に、生産設備の直上外壁や屋根との取合い部、建屋の出入口サッシ廻りは漏水による生産停止リスクが高いため、優先的に点検してください。

工場工事センター匠.comでは、こうした劣化診断の課題に対して、現地調査から診断・報告書の提出まで一貫した解決を提供しています。劣化サインを見逃さない定期的な点検の仕組みを、ぜひご相談ください。

4.サッシ廻り・ALC外壁目地・取合い部それぞれの工場固有リスクと打ち直し優先度の考え方

コーキングの打ち直し工事を計画する際には、「どこから手をつけるか」という優先度の設定が課題になります。国土技術政策総合研究所「プロジェクト研究報告第62号 外壁及び屋根防水の補修・改修部分の耐久性評価手法」では、外壁及び屋根防水の改修において、設備類等の設置状況が防水層の改修容易さと防水性能の確保に影響すると指摘しています。これを工場建屋に当てはめると、設備との取合い部が最も優先度の高い箇所となります。

サッシ(窓枠)廻りのコーキングは、工場建屋の中でも特に雨水が侵入しやすい箇所です。雨水は重力に従って流れますが、風の影響を受けると横方向や上方向にも流れ込む場合があります。サッシ廻りのコーキングが破断・剥離している場合、その隙間から侵入した雨水が壁内部を伝わり、生産設備や電気制御盤に悪影響を与えるリスクが高まります。

ALC(軽量気泡コンクリート)パネルは多くの工場建屋で使用されており、軽量で断熱性能に優れている反面、吸水性があるため目地シーリングの状態が建物の防水性能を大きく左右します。ALC目地のコーキングが劣化した場合、パネル自体が水を吸収して膨張・収縮を繰り返し、さらなる劣化を引き起こします。したがって、ALC外壁目地は早期発見・早期解決が特に重要な部位です。

取合い部とは、異なる部材が接する境目のことです。屋根と外壁の取合い部、配管が外壁を貫通する部分、空調設備の架台と屋根の接続部などが代表的な例です。同報告書では、「水切り部をシーリング材のみで処理している場合、シーリング材に不具合が生じると防水性を確保できない」と明確に述べています。工場では設備の増設や改造によってこうした取合い部が増えやすいため、増設履歴を踏まえた総点検が課題解決のカギとなります。

工場工事センター匠.comでは、こうした工場固有の取合い部リスクを踏まえた優先度マッピングを行い、効率的なコーキングの打ち直し工事をご提案しています。

5.「表面だけ埋めれば十分」は危険――国総研が指摘する「既存材料除去精度が打替えシーリングの耐久性を左右する」根拠

コーキングの打ち直し工事において、工場現場でよく見られる誤解が「古いコーキングの上から新しいコーキングを充填すれば解決する」という考え方です。しかし、国土技術政策総合研究所「プロジェクト研究報告第62号」では、「新築工事とは異なり、経年変化した既存材料が施工しようとする箇所にあるため、それをどの程度の精度で除去できるかにより、打替えたシーリング目地の耐久性に違いが生じる」と明確に述べています。つまり、既存コーキングの除去精度こそが、打ち替え後の品質と耐久性を決定的に左右するのです。

古いコーキングが残ったまま新しい材料を充填しても、両者の間で接着不良が起きやすく、短期間で剥離や漏水が再発するリスクがあります。これは工場にとって大きな課題であり、「やり直し工事」のコストと生産停止のリスクを二重に背負うことになります。正しい解決の手順としては、既存コーキングをカッターや専用工具で丁寧に撤去し、目地面を清掃・乾燥させた上で新たな打ち直し工事を行うことが基本です。

また、古いコーキングを除去した後、目地の形状や寸法を確認する作業も重要です。国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」では、目地寸法について「幅・深さとも10mm以上」を標準としており、これを下回る状態では十分な量のコーキング材を充填できず、防水機能が発揮されません。工場の増改築や設備更新に伴い目地の形状が変化している場合は、コーキングの打ち直し工事とあわせて目地形状の確認・修正も課題として対処する必要があります。

「表面だけ埋める」という安易な対処は、一時的な見た目の改善に過ぎません。根本的な課題解決のためには、既存材料の適切な除去と下地の状態確認を含む、正しい施工手順を踏んだ打ち直し工事が不可欠です。工場工事センター匠.comでは、除去・清掃・プライマー塗布・充填という一連の正規工程を確実に実施した上で、耐久性の高いコーキングの打ち直し工事をご提供しています。

6.下地処理と材料選定が施工品質を決める――国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書」が定めるプライマー・バックアップ材の正しい使い方

コーキングの打ち直し工事において、仕上がりの品質と耐久性を左右する最重要ステップが「下地処理」です。国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」では、シーリングの施工について、プライマー(下塗り剤)とバックアップ材の使い方を詳細に規定しており、この手順を省略することは施工品質の著しい低下につながります。

プライマーとは、コーキング材と外壁パネル・サッシなどの被着面との接着力を高めるための下処理材です。同仕様書では「プライマーは、シーリング材の製造所の製品とし、被着体(塗装してある場合は塗料)に適したものとする」と規定されており、外壁の材質や仕上げの種類によって適切なプライマーを選ぶことが課題解決の前提となります。プライマーを省略したり、材質に合わないものを使用したりすると、コーキングが短期間で剥離し、打ち直し工事の効果が失われます。

バックアップ材とは、目地の底部に入れてコーキング材の充填量を調整するための材料です。目地が深すぎる場合に、コーキング材を均一な厚みで充填するために使われます。同仕様書では「合成樹脂または合成ゴム製でシーリング材に変色等の悪影響を及ぼさないもの」を使用することが定められており、材料の相性を確認することが重要です。バックアップ材を適切に使用することで、コーキング材が目地の三面(底面・両側面)に接着する「三面接着」を防ぎ、目地の動きに対してコーキング材が柔軟に追従できる状態を確保します。

材料選定においても、工場環境への対応が必要です。熱や油分・薬液の影響を受ける環境では、耐熱性・耐薬品性を持つシーリング材の選定が課題となります。また、同仕様書では「有効期間を過ぎたシーリング材は使用しない」と明記されており、材料の品質管理も施工品質を確保するうえで欠かせません。

工場工事センター匠.comでは、工場の外壁材質・稼働環境・目地形状を事前に確認した上で、適切なプライマー・バックアップ材・シーリング材の組み合わせを選定し、確実な打ち直し工事を実施しています。

7.雨水の侵入経路を工場構造から読む――国総研が示す「水切り・立上り高さ・配管貫通部」という漏水リスクの三角地帯

コーキングの打ち直し工事を効果的に進めるためには、雨水がどのような経路で工場建屋に侵入してくるかを理解しておくことが、課題の根本解決につながります。国土技術政策総合研究所「プロジェクト研究報告第62号」では、防水改修における漏水リスクの要因として「水切り部の処理」「立上り部の高さ」「配管等の貫通部」の3点を特に指摘しています。

水切りとは、外壁の途中や屋根の縁部に取り付けられた金属板などで、雨水を意図した方向に誘導する部材です。同報告書では「水切り部をシーリング材のみで処理している場合には、シーリング材に不具合が発生した場合に防水性を確保できない」と明示しています。工場建屋では、コストや施工性を優先した結果、水切り板を省略してコーキングだけで雨水を止めている箇所が見受けられることがあり、そのような箇所は定期メンテナンスの際に最優先で確認すべき課題です。

立上り高さとは、屋根の防水層が外壁に向かって立ち上がっている部分の高さを指します。立上り高さが不十分な場合、豪雨時に雨水が屋上に滞留し、壁との取合い部から浸水するリスクが高まります。工場建屋では空調機器・排気ファン・配管類が屋上に多数設置されており、それらの周囲に水が溜まりやすい構造になっている場合があります。そのため、定期的なコーキングのメンテナンスと合わせて、屋上の排水状況も確認することが重要です。

配管が外壁・屋根を貫通する箇所は、コーキングによる止水処理が必須の部位です。同報告書では「防水層の上に配管や空調設備等が設置された場合は改修防水層の施工時にそれらを移動させる必要があり、移動の可否が改修の容易さ・防水性能の確保に影響する」と述べています。工場では設備増設のたびに配管の貫通箇所が増えるため、増設の履歴を記録し、コーキングの点検対象箇所を更新し続けることが課題解決の観点から重要です。

工場工事センター匠.comでは、こうした工場特有の漏水リスクを踏まえた現地調査を行い、雨水侵入経路を特定した上でコーキングの打ち直し工事の計画を立案しています。

8.シーリング工事は「建設業法上の防水工事業」に分類される――工場発注者が施工業者の資格・専門性を確認すべき法的根拠

工場のコーキング(シーリング)打ち直し工事を依頼する際、工場の現場責任者が意外と見落としがちな課題があります。それは「誰でも施工してよいわけではない」という法律上の位置づけです。厚生労働省職業能力開発局「シーリング防水工事作業」では、シーリング工事が「建設業法で定義された防水工事業の建設工事」の中の「シーリング工事」に該当することが明確に示されています。

これが意味するのは、シーリング工事は単純な補修作業ではなく、防水工事業として建設業許可が必要な専門工事に分類されるということです。工場発注者として施工業者を選定する際には、建設業許可(防水工事業)を有しているかどうかを確認することが、適正な発注の課題解決として重要になります。無許可業者に工事を依頼した場合、仕上がりの品質問題だけでなく、法的なリスクを生じさせる可能性があります。

また、シーリング工事には専用の工具と技術が必要です。同資料でも示されているように、シーリングガン(コーキングガン)・高所作業車・各種足場材・皮すき(スクレーパー)・電動工具(シーリング材混練機等)など、専門的な設備が求められます。こうした機材を適切に扱い、正確な施工ができる技術者が工事を実施することが、施工品質の担保につながります。

さらに、工場での高所作業を伴う場合は、労働安全衛生法に基づく高所作業の安全基準も遵守しなければなりません。こうした法的背景を理解した上で、工場発注者は「実績があり、適切な許可と技術を持つ専門業者」を選定するという課題解決の視点を持つことが大切です。

工場工事センター匠.comでは、防水工事業の専門知識と豊富な工場施設メンテナンスの実績をもとに、適切なコーキングの打ち直し工事をご提供しています。

9.工場建屋のコーキング打ち直し工事に必要な足場計画と安全管理――労働安全衛生法・手すり先行工法ガイドライン(厚生労働省)が求める墜落防止措置

工場の外壁コーキングの打ち直し工事を実施する際には、外壁面にアクセスするための足場の設置が不可欠です。この足場計画と安全管理は、工場施設メンテナンスの中でも特に重要な課題です。国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」では、足場の設置について「労働安全衛生法、建築基準法、建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事等編)その他関係法令等に基づき、適切な材料及び構造のものとする」と定めています。

特に重要なのが、厚生労働省の「手すり先行工法等に関するガイドライン」への対応です。同仕様書では「足場の組立、解体、変更の作業時及び使用時には、常時、全ての作業床について手すり・中桟及び幅木の機能を有するものを設置しなければならない」と規定されています。工場建屋の外壁コーキング工事では、2階以上の高所作業が伴うことが多く、足場の安全確保は施工業者だけでなく、工場発注者側も発注条件として確認すべき課題です。

工場での施工計画においては、生産ラインへの影響も考慮した足場計画が必要です。工場内部の設備や製品に養生を施した上で作業を行う必要があり、施工エリアごとに作業工程を調整して生産への影響を最小化する段取りが求められます。また、外部足場の壁つなぎ材を外壁に取り付ける場合は、撤去後の補修を最小限にする位置の選定も大切です。

火気使用に関しても、工場では厳格な管理が必要です。コーキングの撤去作業でカッターや電動工具を使用する際に火花が生じる場合があり、可燃性物質が保管・使用されている工場では火花飛散防止措置が不可欠です。同仕様書では「火気の使用箇所付近に可燃性のもの及び危険性のあるものを置かない」「防炎シート等による養生及び火花の飛散防止措置を講ずる」と明記されており、工場独自の安全ルールと合わせた対応が課題解決の観点で重要です。

工場工事センター匠.comでは、工場の生産スケジュールと安全規則を事前に確認した上で、安全で確実なコーキングの打ち直し工事の計画をご提案しています。

10.シーリング材のSDS(安全データシート)管理は工場事業者の義務――国土交通省標準仕様書が定める化学品情報の作業場内表示と作業者保護

コーキングの打ち直し工事で使用するシーリング材は、化学物質の一種であり、取り扱いに際して適切な安全管理が求められます。国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」では、「仕上塗材、塗料、シーリング材、接着剤その他の化学製品の取扱いに当たり、当該製品の製造所が作成したJIS Z 7253(GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法―ラベル、作業場内の表示及び安全データシート(SDS))による安全データシート(SDS)を常備し、記載内容の周知徹底を図るため、ラベル等により取り扱う化学品の情報を作業場内に表示し、作業者の健康、安全の確保及び環境保全に努める」と規定されています。

SDS(安全データシート)とは、化学物質の性質・危険性・有害性・取り扱い方法・保管方法・廃棄方法などをまとめた文書です。コーキング工事を工場内で実施する際には、使用するシーリング材のSDSを作業現場に常備し、作業員がいつでも確認できる状態にしておくことが法令上の義務となっています。これは、シーリング材に含まれる有機溶剤や化学物質から作業員を守るための基本的な安全管理です。

工場での施工においては、換気の確保も重要な課題です。密閉性の高い工場内部でシーリング材を使用する際には、揮発性有機化合物(VOC)が空気中に拡散するリスクがあり、適切な換気措置が必要です。特に食品を扱う工場や精密機器を製造する工場では、施工エリアの区画と換気の徹底が課題解決の条件となります。

また、施工後に発生した廃シーリング材の処理も適切に行わなければなりません。廃棄物処理法に基づく産業廃棄物としての適正処理が求められますが、詳細は後述のPCB含有に関する項目も参照してください。

工場工事センター匠.comでは、使用するシーリング材のSDS管理・換気計画・廃材処理を含む安全管理体制を整えた上で、コーキングの打ち直し工事を実施しています。工場内での安全な施工という課題に、責任を持って解決に取り組んでいます。

11.昭和47年以前に建てられた工場は要注意――環境省が定めるPCB含有ポリサルファイド系シーリング材の確認義務と廃棄物処理規制

工場の改修やコーキングの打ち直し工事を計画する際、昭和47年(1972年)以前に建設された工場建屋の現場責任者は特に注意が必要な課題があります。それは、建物の外壁目地に使用されているシーリング材が、PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含有している可能性があるという問題です。環境省「ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて令和元年9月版」では、建築用シーリング材がPCBを使用した代表的な製品のひとつとして明記されています。

PCBは、1972年以前に製造されたポリサルファイド系シーリング材の可塑剤(材料を柔軟にするための添加剤)として使用されていた化学物質です。PCBは現在、製造・輸入ともに禁止されており、廃棄の際には「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正処理の推進に関する特別措置法」に基づく適正処理が義務づけられています。コーキングの打ち直し工事の際に撤去したシーリング材がPCBを含有している場合は、一般廃棄物として処分することはできず、PCB廃棄物として専門の処理機関に委託しなければなりません。

工場の改修・解体に伴いPCB含有ポリサルファイド系シーリング材が発生した場合は、建物の所有者(工場の運営企業)が保管事業者として適正に保管し、その数量等を毎年都道府県知事等に届け出なければならないことも、定められています。この届出義務の存在は、工場現場責任者が必ず把握しておくべき法律上の課題です。

自分の工場建屋がいつ建設されたか、どのような材料が使われているかを把握していない場合は、コーキングの打ち直し工事を開始する前に、シーリング材の種別判定(第一次判定・第二次判定)を専門機関に依頼することが推奨されます。材種確認から適正処理まで、工場工事センター匠.comでは関係する専門機関と連携した解決のご支援も行っています。

12.PCB含有シーリング材が見つかった工場の対応手順――「廃棄物処理法」に基づく保管届出義務と低濃度・高濃度による処分委託先の違い

工場のコーキング打ち直し工事の準備段階でPCBが含有されていることが判明した場合、どのように対処すればよいかが次の課題となります。環境省「ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて」では、PCB含有シーリング材の処分先がPCBの含有濃度によって異なることが明示されており、その判断基準と処分ルートを正確に理解することが解決の前提となります。

まず、撤去前に「シーリング材がポリサルファイド系であるか否か」を第一次判定として確認します。これは、建物所有者(工場運営企業)の依頼により専門機関で判定を受けます。ポリサルファイド系であると判定された場合は、続いて第二次判定として専門の分析機関にPCB含有量の分析を依頼します。環境省「ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて」によれば、分析の結果、PCB含有濃度が0.5mg/kg以下であればPCB廃棄物には該当しません。

濃度が0.5mg/kgを超える場合は、PCB廃棄物として適正処理が必要となります。同パンフレットでは、PCB含有率が10.0重量パーセントを超える場合は「高濃度PCB廃棄物」として中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)に委託して処分し、10.0重量パーセント以下(含有量が0.5mg/kg以下のものを除く)の場合は「低濃度PCB廃棄物」として環境大臣の認定を受けた無害化処理認定事業者に処理を委託することが定められています。

工場現場責任者が最も注意すべき点は、撤去したPCB含有シーリング材を適切な容器に納め、PCBが飛散しないよう保管した上で、都道府県知事等への届出を確実に行うことです。国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」にも「PCB含有シーリング材はPCBが飛散しないように適切な容器に納め、適切な場所に保管し、工事完了後、監督職員に引き渡す」と明記されています。工場の設備改修計画と並行して、こうした課題の解決手順を事前に整理しておくことが重要です。

工場工事センター匠.comでは、PCBに関する法的要件の確認と、適正処理のための関係機関への橋渡しまで含めた総合的な解決支援を行っています。

13.工場建物のコーキング打ち直しは「長寿命化」の観点から維持保全計画に組み込む――建築研究所が示すシーリング防水の標準耐用年数算定と改修サイクルの考え方

工場建屋の長期的な維持管理を考える上で、コーキングのメンテナンスを「故障が起きてから対処する」というスタンスから「計画的に維持保全計画に組み込む」スタンスへ転換することが、根本的な課題解決の方向性となります。独立行政法人建築研究所「建築研究資料No.145」(第5章 防水)では、シーリング防水の耐用年数について「標準耐用年数の推定方法」が示されており、施工時の設計・気象条件・材料の種類によって耐用年数が変わることが体系的に整理されています。

独立行政法人建築研究所「建築研究資料No.145」(第5章 防水)では、シーリング防水の標準耐用年数を算定する際に、気象条件・施工品質・材料の組み合わせを係数化して加味する考え方が示されています。この考え方を工場建屋に適用すると、過酷な気象環境・高い振動負荷・薬液飛散の多い環境では、標準よりも短い周期でのメンテナンスが必要になることが導かれます。すなわち、工場の稼働環境に応じたカスタマイズされた点検・改修サイクルを策定することが、建物の長寿命化と安定操業の両立に直結する課題解決の手段です。

維持保全計画を立てる際には、工場建屋の竣工年や過去のメンテナンス履歴、使用されているシーリング材の種類を記録・整理することが第一歩です。記録が残っていない場合は、現地調査による状態確認から始める必要があります。同資料では「外壁シーリング目地の期待耐用年数は10年よりも長期とする」ことが目標として示されており、高耐久シーリング材の選定と適切な施工によってこの目標に近づくことが可能です。

また、コーキングの打ち直し工事は外壁塗装のリニューアル時期とタイミングを合わせることで、足場設置コストを分担でき、工場の経済的な維持管理という課題に対しても効率的な解決が期待できます。

工場工事センター匠.comでは、工場ごとの稼働環境・建物状態・予算計画をヒアリングした上で、中長期の維持保全計画の策定から実際のコーキングの打ち直し工事まで、一貫した解決をご支援しています。

14.コーキング打ち直し後の「塗装との相性」が施工品質を左右する――国総研実験が実証したシーリング材と仕上塗材の組み合わせ選定の重要性

コーキングの打ち直し工事が完了した後、外壁塗装をかける場合には「シーリング材と塗料の相性」が施工品質に大きく影響します。これは工場現場の担当者が見落としやすい課題のひとつです。国土技術政策総合研究所「プロジェクト研究報告第62号」では、「シーリング材と仕上塗材種類との相性の確認」が、外壁シーリング目地の耐久性向上のための改修工事技術として実験によって検討されており、組み合わせを誤ると早期劣化につながることが示されています。

具体的には、シリコーン系のシーリング材は耐候性に優れている反面、塗料との密着性が悪く、上から塗装をかけると塗膜が剥がれやすいという特性があります。一方、変成シリコーン系やポリサルファイド系のシーリング材は、多くの塗料と相性よく使用できますが、各材料の特性と使用する環境条件によって最適な組み合わせが変わります。工場の外壁に使用する場合は、熱・紫外線・薬液への耐性も組み合わせの選定基準に加える必要があります。

また、コーキング打ち直し後に塗装を施す場合は、シーリング材が完全に硬化してから塗装を行うことが重要な手順です。未硬化のシーリング材の上から塗装をかけると、硬化の過程でシーリング材が変形し、塗膜にひび割れが生じます。「先打ちシーリング(コーキングを先に施してから外壁を塗装する工程)」と「後打ちシーリング(外壁塗装後にシーリングを施す工程)」のどちらを採用するかも、仕上がりと耐久性に影響を与えるため、計画段階で課題として整理しておく必要があります。
国土技術政策総合研究所「プロジェクト研究報告第62号」では、コーキングの改修後の期待耐用年数を10年より長期とすることを目標に、シーリング材の塗装仕上げによる保護が有効であることが示されています。この考え方を工場建屋のメンテナンスに応用することで、コーキングの耐久性を高め、改修サイクルを延ばすという課題解決が期待できます。

工場工事センター匠.comでは、シーリング材と外壁塗装の材料選定を含めた総合的な外壁改修のご提案を行っており、打ち直し工事から塗装まで一貫した施工で長期的な防水性能の維持を実現しています。

15.竣工から10年を超えた工場建屋は外壁全面調査の対象となりうる――建築基準法第12条・国土交通省告示第282号が定める定期調査制度とコーキング劣化確認義務

工場建屋を長年使用し続けてきた現場責任者の中には、「建物の外壁調査をしなければならない」という法律上の義務があることを、十分に認識していない方もいるかもしれません。これは工場の安全管理上の重要な課題です。国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」では、建築基準法第12条に基づく定期報告制度において、外壁の調査を実施する義務を建物の所有者・管理者に課しています。

国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」では、外装仕上げ材等の劣化及び損傷の状況の調査について、「おおむね6ヶ月から3年以内に一度の手の届く範囲の打診等に加え、おおむね10年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等を行う」ことが定められています。竣工または外壁改修から10年を経過した建物は、特に全面打診等の調査対象となります。

この定期調査の対象には、外壁タイル・石貼り・モルタル等の調査が含まれますが、それらの目地や取合い部に施されたコーキングの状態も当然確認の対象となります。コーキングの劣化は外壁材の浮きや剥落を助長する要因にもなるため、外壁調査と連動したコーキングの打ち直し工事の計画立案が、課題解決の効率的な進め方として推奨されます。
令和4年(2022年)の改正では、全面打診調査の一部に代わり、ドローンによる赤外線調査が活用可能であることも明確化されました。外壁の広い面積を効率的に調査する手段として、新技術の活用も課題解決の選択肢となってきています。

定期調査の対象施設かどうかの確認、調査の実施、そして調査結果に基づくコーキングの打ち直し工事の実施まで、工場工事センター匠.comでは工場現場の担当者の方々が抱えるこうした課題に対して、わかりやすいご説明と実践的な解決策のご提案を行っています。

結論・まとめ

ここまで15のテーマにわたって、工場建屋のコーキングの打ち直し工事に関する課題と解決策を詳しく解説してきました。コーキングとは単なる「隙間を埋める素材」ではなく、工場の防水・気密・長寿命化を支える重要な建築要素であることが、国土交通省・建築研究所・国土技術政策総合研究所・環境省・厚生労働省といった公的機関の資料からも明らかです。

工場建屋のコーキングが劣化する主因は、一般建築とは大きく異なります。生産設備による振動、外壁材の熱伸縮、薬液や粉じんの飛散といった工場固有の環境が、一般的な劣化サイクルを大きく前倒しにします。だからこそ、工場現場の責任者・作業員の皆さまには、コーキングの劣化サイン(ひび割れ・破断・剥離・ふくれ)を早期に発見し、計画的なメンテナンスを実施していただくことが重要です。

打ち直し工事においては、古いコーキングの除去精度・プライマーとバックアップ材の適切な使用・シーリング材と塗装の相性確認という3つのポイントが、施工品質と耐久性を左右します。また、昭和47年以前の建屋ではPCB含有シーリング材の確認義務があり、法令に基づく適正な対応が求められます。竣工から10年を超えた工場建屋では、建築基準法に基づく外壁定期調査と合わせてコーキングの打ち直し工事を計画することが、効率的な課題解決につながります。

工場工事センター匠.comは、神戸市を拠点に、日本全国のものづくり企業様の工場施設の課題に寄り添い続けることを使命としています。工場の生産を守り、設備を長く使い続け、働く方々の安全を確保するために、コーキングの打ち直し工事を含む工場施設のメンテナンスを一つひとつ丁寧に解決させていただきたいと考えています。

工場外壁の状態が気になる方、コーキングの劣化が進んでいると感じている方、初めての打ち直し工事で何から始めればよいかわからない方、ぜひ工場工事センター匠.comへご相談ください。現地確認から最適な施工計画のご提案、完工後のフォローアップまで、日本全国のものづくり企業様のお役に立てるよう全力でサポートいたします。

(監修者:吉岡興業株式会社 代表取締役 吉岡 洋明)


【参考資料・関連記事】

・国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」
・独立行政法人建築研究所「建築研究資料No.145 建築物の長期使用に対応した外装・防水の品質確保ならびに維持保全手法の開発に関する研究」(第5章 防水)
・国土技術政策総合研究所「プロジェクト研究報告第62号 外壁及び屋根防水の補修・改修部分の耐久性評価手法」
・環境省「ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて 令和元年9月版」
・厚生労働省職業能力開発局「シーリング防水工事作業(技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目)」
・国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」


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