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簡易クリーンルーム設置工事と衛生管理


工場現場責任者や工場現場作業員の方に向けて、簡易クリーンルーム設置工事の考え方とメンテナンス、そして現場の課題と解決策を、公的機関の指針を踏まえてわかりやすく解説します。

厚生労働省が示す厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」の考え方を応用すると、製薬用途以外の一般工場でも、異物混入や微生物汚染リスクを体系的に低減できます。 

本コラムでは、工場工事センター匠.comが現場で培ってきた簡易クリーンルーム設置工事のノウハウと、日常のメンテナンスで押さえるべきポイントを、起承転結の流れで整理してお伝えします。

工場内クリーン環境整備の基本方針

工場に簡易クリーンルームを導入する前提として、まず工場全体の衛生管理方針を明確にすることが重要です。

簡易クリーンルーム設置工事は、単体の箱もの工事として捉えるのではなく、「工場全体の衛生水準をどのレベルに引き上げるか」という中長期方針の中に位置付けることが求められます。

そのうえで、現場責任者が直面しやすい課題は、例えば「粉じんが多い工程が近くにある」「既設設備が入り組んでいて改修しにくい」「清掃やメンテナンスが属人的になっている」といった点です。

これらの課題を整理しないまま簡易クリーンルーム設置工事を進めると、完成後に想定した清浄度が得られない、メンテナンスの負荷が増えるといった新たな課題が発生しやすくなります。

工場工事センター匠.comでは、工事の初期段階で必ず衛生管理方針と既存設備の課題をヒアリングし、工事後の運用とメンテナンスまでを見据えた解決策を一体で検討するようにしています。

また、厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では、「清浄区域」の考え方が明示されており、異物汚染や微生物汚染の防止が図られた区域として定義されています。

一般工場では医薬品ほど厳格な清浄度は求められない場合が多いものの、「どの工程をどのレベルの清浄区域として扱うか」という設計思想は、簡易クリーンルーム設置工事においても有効です。

つまり、工程ごとに求められる清浄度、許容されるリスク、導入にかかるコストを整理し、そのバランスの中で段階的に課題を解決していく方針を立てることが、工場全体の総合的な改善につながります。

さらに、現場作業員の方にとっても、なぜクリーン化が必要なのか、どのレベルまで求められているのかを理解できているかどうかで、日常のメンテナンスの質や継続性が大きく変わります。

方針が曖昧なまま「とりあえずきれいにしておいてください」と指示するのではなく、公的な基準をかみ砕いて現場向けに翻訳し、「この区域はこういう理由で特に大事」というストーリーを共有することが大切です。

このように、簡易クリーンルーム設置工事の前段階として、工場の衛生管理方針と現場の課題を整理し、解決の優先順位と到達目標を決めることが、すべての出発点になります。

位置・周辺環境を踏まえたクリーンルーム設置計画

クリーンルームをどこに設置するかという「位置の選定」は、工場現場責任者にとって大きな課題です。

厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では、施設は「不潔な場所に位置しないこと」や、周囲の地面は排水が良好で清掃しやすい材質で舗装されていることなどが求められています。 

この考え方を工場に当てはめると、廃棄物置き場、原料の開梱エリア、大型車両の搬入口など、粉じんや排気ガス、害虫のリスクが高いゾーンから、簡易クリーンルームをできるだけ離して配置することが解決策のひとつになります。

ただし、多くの工場では既存レイアウトや物流動線の制約があり、理想どおりの位置に設置できないという課題があります。この場合、工場工事センター匠.comでは、建屋外周の環境対策と、建屋内のゾーニングを組み合わせて課題の解決を図ります。

具体的には、外周部の舗装・排水改良、防虫・防鼠対策、風の流れを考慮した搬入口の改修などで外部からの汚染リスクを減らし、内部では簡易間仕切りや前室を設けて、クリーンルームまでの「バッファゾーン」を確保する方法です。

また、厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では、無菌操作等区域と清浄度管理区域をトイレや飲食場所から明確に区分することが示されています。

これは、汚染リスクの高い用途の部屋と清浄区域を近接させないという方針であり、一般工場でも更衣室や休憩室、喫煙所などの配置を見直す際の参考になります。

簡易クリーンルーム設置工事の計画段階で、こうした周辺施設との位置関係を再点検し、「どこから先をクリーン側とみなすか」という境界線を決めておくことが、後のメンテナンス計画にも直結します。

さらに、工場現場作業員の導線も重要な視点です。作業員が油や粉じんが多い工程を通過してからクリーンルームに入室するような経路が常態化していると、どれだけ空調設備を強化しても清浄度の課題は解決しません。

したがって、動線の変更や前室での更衣・履物の切り替えなどを組み合わせ、人由来の汚染を最小限に抑えるルート設計を、位置選定と一体で検討することが求められます。

耐久性とメンテナンス性を考慮したクリーンルーム構造

簡易クリーンルーム設置工事では、「簡易」という言葉のイメージから、仮設的で簡易な構造を想像される方もいますが、衛生管理の観点では耐久性とメンテナンス性が欠かせません。

クリーンルームの壁・天井・建具は、短期間で劣化したり損傷したりして粉じんやカビの発生源にならない材質・工法を選ぶべきであることを示しています。

一般的な課題として、既設工場に後付けで簡易クリーンルームを導入する場合、既存建屋との取り合い部分から隙間や段差が生じやすくなります。

こうした隙間は、後のメンテナンス時に清掃しにくいだけでなく、害虫やほこりの侵入経路にもなり、クリーン環境維持の大きな障害となります。

工場工事センター匠.comでは、取り合い部分のシール材や見切り部材の選定、メンテナンス時にアクセスできる点検口の配置など、将来の保全作業を見越した構造提案を行っています。

また、厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では、壁・床・天井の表面は清掃が可能で、洗浄剤や消毒剤に耐える材質であることが求められています。

これは、日常の清掃や定期的な消毒を行った際に、材質が劣化して粉じんを発生させたり、ひび割れや剥離が起きて汚染源になることを防ぐためです。

したがって、簡易クリーンルーム設置工事においても、導入後のメンテナンスで使用する洗浄剤・消毒剤の種類を想定し、それに耐えるパネル材や塗装仕様を選定することが、課題の未然防止につながります。

さらに、天井裏や配管まわりの構造にも注意が必要です。天井内部に多くのダクトやケーブルラックが走っている場合、それらの上にほこりが溜まりやすく、何かの拍子に落下してクリーンルーム内を汚染する課題があります。

このようなケースでは、天井上部へのアクセス方法と定期清掃のメンテナンス計画をセットで検討し、必要に応じて天井裏を陽圧に保つ、清掃可能な足場を設けるなど、構造と運用の両面から解決策を組み合わせることが求められます。

清浄度区分とゾーニング設計のポイント

清浄度区分とゾーニングは、簡易クリーンルーム設置工事における設計の要です。厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では、クリーンルームやゾーンをグレードAからDといった清浄度レベルに区分し、用途に応じてどの作業をどのレベルの区域で行うかを定めています。 

一般工場では必ずしも同じグレードを適用するわけではありませんが、「より重要な工程ほど高い清浄度の区域で行う」という考え方は、そのまま課題の整理と解決に役立ちます。
しかし、現場では「どこまでの清浄度が必要なのかが分からない」という課題が頻繁に聞かれます。

この場合、工場工事センター匠.comでは、まず製品特性やお客様からの品質要求事項を整理し、異物混入や微生物汚染がどの程度問題になるかを確認します。そのうえで、すべてを高い清浄度にするのではなく、工程ごとにリスクとコストのバランスをとりながら、清浄度区分とゾーニングの解決案を検討します。

ゾーニング設計においては、人と物の動線が交錯しないように計画することも重要です。
例えば、原料搬入ルートと完成品出荷ルートが同じ通路を通る構成では、せっかくクリーンルームを設置しても、外部からの汚染物質が入り込みやすくなる課題があります。

したがって、動線を分離する、時系列で運用を分ける、前室やパスボックスを設けるなどの解決策を組み合わせ、清浄区域に持ち込まれる汚染を最小限に抑える必要があります。
また、ゾーニングの境界を現場作業員に分かりやすく示すことも、運用上のメンテナンス負荷を下げるポイントです。

床の色分けや表示ライン、標識によるエリア区分など、目で見てすぐに区別できる工夫をすることで、「ここから先はクリーン側」という意識が自然と共有されます。

このような視覚的な工夫は、公的なガイドラインに直接は記載されていないものの、指針が目指す衛生管理の目的を現場レベルで達成するための有効な解決手段です。

床・壁・天井仕上げに求められる衛生仕様

床・壁・天井の仕上げは、簡易クリーンルーム設置工事において、見た目以上に重要な要素です。

これらの要求は、食品や医薬品だけでなく、精密部品や電子機器など、異物や水分による不具合が問題となる多くの製造現場に共通する課題を想定しています。

工場現場でよく見られる課題として、既存のコンクリート床がひび割れていたり、油汚れが染み込んでいるケースがあります。この状態のまま簡易クリーンルームを設置すると、床からの粉じんや臭気が清浄環境を乱す原因となり、期待どおりの清浄度が得られません。

したがって、工場工事センター匠.comでは、床面の下地補修や防塵塗装、帯電防止仕様の導入などを組み合わせて、クリーンルームの性能を支える床仕上げを提案し、課題の解決を図っています。

壁や天井についても、継ぎ目やビス頭が多い構造は、ほこりの付着や清掃性の面で課題になりやすいです。厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では、壁・床・天井の表面は清掃可能で、洗浄剤や消毒剤に耐える材質とすることが求められています。

そのため、簡易クリーンルームのパネル選定においても、目地の少なさやシーリングのしやすさ、変形の少なさなど、メンテナンス性を考慮した仕様を重視することが、長期的な課題解決につながります。

さらに、天井面の照明・吹出口・点検口などの開口部も、仕上げの一部として検討が必要です。

開口部の縁に段差や隙間が多いと、そこが微細なほこりの溜まり場となり、メンテナンスのたびに清掃に手間がかかります。したがって、工場工事センター匠.comでは、開口部の形状や配置を工事の初期段階から設計に反映し、数年後のメンテナンスまで見越した解決策を盛り込むようにしています。

換気・空調と空気の流れによる汚染リスク低減

換気・空調は、簡易クリーンルームの性能を左右する中核的な要素です。

内閣府国立研究開発法人日本医療研究開発機構「再生医療等製品の無菌製造法に関する指針(案)」では、「適切な換気、空調及び空気の流れの管理」により、結露や汚染区域から清浄区域への空気流入を防ぐことが求められています。

この考え方は、工場の簡易クリーンルームにおいても、換気回数や給気・排気のバランス、室内の気流分布を検討する際の基本となります。しかし、既設工場の空調設備をそのまま利用しようとすると、風量不足や風向きの問題など、さまざまな課題が明らかになります。

とくに、天井カセット形エアコンだけでクリーン環境を維持しようとすると、フィルター性能や外気導入量が不足し、想定した清浄度に到達できないことが少なくありません。

そこで工場工事センター匠.comでは、HEPAフィルターを組み込んだユニットや専用空調機を追加し、空気清浄と温湿度管理を両立させる解決策を提案しています。

また、PMDAの無菌製造指針では、差圧管理や気流方向の重要性が繰り返し示されており、より清浄度の高い区域から低い区域へ空気が流れるように設計することが求められています。

これは、出入口で扉を開けたときなどに汚染空気が清浄区域へ逆流することを防ぐための考え方であり、簡易クリーンルームでも同様に適用可能です。そのため、給気と排気の位置を工夫したり、補助ファンを活用したりして、清浄度の高い側から低い側へ自然と空気が流れる構成を作ることが課題解決の鍵になります。

さらに、換気量を増やせばよいという単純な話ではなく、エネルギー消費や温湿度の変動も考慮する必要があります。

換気過多は空調負荷を増大させ、ランニングコストや設備メンテナンスの負担を増やす課題につながるため、必要な清浄度を満たす範囲で最適な換気回数を設定することが重要です。

この点で、工場工事センター匠.comは、公的な指針が示す考え方を参考にしつつ、実際の運転データや現場の感度を踏まえたバランスの良い解決策を検討します。

差圧管理と出入口設計による清浄度維持

差圧管理は、クリーンルームの「見えない壁」を形成するものです。

厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では、無菌操作等区域と周辺区域との間に適切な差圧を設けることで、清浄区域から非清浄区域への一方向の空気流を確保することが求められています。 

この考え方を簡易クリーンルームに導入することで、扉の開閉時や人の出入りがあっても、清浄度を安定して維持しやすくなります。現場の課題としてよくあるのは、出入口の扉が一枚のみで、かつ頻繁に開閉されるケースです。このような構成では、差圧を維持しにくく、外気が流入しやすいため、クリーン環境の維持が難しくなります。

そこで工場工事センター匠.comでは、可能な範囲で前室を設け、二重扉構成とすることで、差圧と清浄度を安定させる解決策を提案しています。

また、扉の開閉方向や自動閉鎖機構、シール性も重要な検討事項です。

厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では具体的な扉の形式までは規定していないものの、差圧管理を確実に行うためには、扉の隙間を最小限にし、不要な開放時間を減らすことが重要であると読み取れます。

したがって、自動ドアやインターロック機構などを活用し、人の利便性と差圧維持の両立を図ることが、差圧管理の課題を解決するうえで有効です。

さらに、物の出入りについても、パスボックスの活用が有効です。クリーンルーム内と外部を直接つなぐ扉から物品を出し入れすると、そのたびに差圧が乱れ、空気の流れも逆転しやすくなります。

そのため、工場工事センター匠.comでは、物の搬入出専用のパスボックスを設けることで、人と物の動線を分離し、差圧と清浄度の維持を解決する設計を行っています。

照明・配管・ダクトの配置と清掃性の確保

照明や配管、ダクトの配置は、クリーンルームの清掃性とメンテナンス性を左右します。

一般に、天井面に多くの設備機器を取り付けると、それだけ凹凸が増え、ほこり溜まりや結露のリスクが高まります。また、複雑な配管ルートは清掃時のアクセスを難しくし、メンテナンスの頻度が下がる要因にもなります。

そのため、工場工事センター匠.comでは、設備機器の集約やレイアウトの簡素化を図りつつ、点検口の設置位置やメンテナンス手順をあらかじめ考慮した配置計画を行っています。

さらに、照明器具の選定も重要です。ガラス破損による異物混入を防ぐために、飛散防止カバー付きの照明を採用する、器具の表面を清掃しやすい形状とするなど、細かな工夫が清浄度維持に寄与します。

加えて、照度が不足すると汚れの発見が遅れ、メンテナンスの質が低下する課題もあるため、適切な照度を確保することが解決策のひとつとなります。

給排水・床排水計画と衛生配慮

給排水や床排水は、一見クリーンルームと直接関係がないように見えますが、実際には衛生管理に大きく影響します。

簡易クリーンルーム設置工事では、内部に排水口を設けない設計とするケースも多く、厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」でも無菌操作等区域および清浄度管理区域には原則として排水口や流しを設けないことが示されています。

この背景には、排水口が微生物の繁殖源や異臭の原因となり、清浄度維持の大きな課題になりやすいという事実があります。

したがって、洗浄や水を使う作業は原則としてクリーンルーム外で行い、内部には水場を持ち込まない運用が、汚染リスクの解決につながります。

一方で、どうしてもクリーンルーム内で水を扱う必要がある工程も存在します。このような場合には、排水配管の勾配やトラップ位置、メンテナンス用の点検口の位置などを慎重に設計し、定期的な清掃と点検を前提とした構成とすることが重要です。

工場工事センター匠.comでは、こうした特別なケースについても、現場ごとの課題を整理し、現実的な解決案を検討しています。

虫・げっ歯類侵入防止と外周部の対策

虫やげっ歯類の侵入は、工場に共通する大きな課題です。

実際の現場では、搬入口やシャッターの下部、壁と配管の隙間などが侵入経路となることが多く、これらを完全に塞ぐことが難しいという課題があります。

そこで工場工事センター匠.comでは、物理的な隙間対策と周辺環境の改善を組み合わせて解決を図ります。具体的には、隙間を最小化する部材の採用、防虫カーテンやエアカーテンの設置、外周部の草刈りや廃棄物置き場の見直しなど、複数の対策を併用します。

また、簡易クリーンルーム自体の建て方も重要です。

床との取り合いや天井と建屋の取り合いに隙間があると、そこから小さな虫が侵入しやすくなります。したがって、設置工事の段階でシーリング材の選定や施工品質を重視し、メンテナンス時に再施工しやすい構造とすることが、長期的な課題解決につながります。

クリーンルーム関連設備の保守点検と修繕計画

クリーンルームは、設置して終わりではなく、その後の保守点検と修繕が品質を左右します。中小企業庁官公需情報ポータルサイト「令和7年度クリーンルーム関連設備等保守点検業務仕様書」では、設備機能を常に良好な状態に維持し、年次ごとの修繕計画を立てることが求められています。

この考え方は、民間工場における簡易クリーンルームにもそのまま当てはめることができます。現場の課題として多いのは、「設置後のメンテナンス体制が決まっていない」「フィルター交換の時期が分からない」といった運用上の不明点です。

工場工事センター匠.comでは、簡易クリーンルーム設置工事の引き渡し時に、空調機やフィルター、差圧計、照明など主要設備の点検周期とメンテナンス方法を一覧化し、保全担当者様と共有するようにしています。

このように、設備ごとの点検頻度と作業内容を明確にすることで、計画的な保守と予算化がしやすくなり、突発的なトラブルを減らす解決につながります。

また、厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では、設備の適格性評価(バリデーション)や変更管理の重要性が示されています。

一般工場においても、クリーンルーム内のレイアウト変更や新設備導入の際には、空気の流れや差圧、清掃しやすさなどへの影響を事前に確認することが、品質トラブルの予防に役立ちます。

工場工事センター匠.comは、こうした変更時の相談窓口としても、現場の課題に寄り添った解決策を提案しています。

環境モニタリングと清浄度確認の仕組みづくり

クリーンルームの状態を維持するためには、環境モニタリングが欠かせません。

厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では、浮遊微粒子や微生物のモニタリングを通じて、清浄度の維持状況を確認し、異常があれば原因究明と是正措置を行うことが求められています。これは、クリーンルームの性能を数値で把握し、感覚や勘に頼らない管理を行うための基本的な解決策です。

もっとも、すべての一般工場で医薬品レベルのモニタリングを実施するのは現実的ではなく、コストや人員の制約という課題があります。そのため、工場工事センター匠.comでは、製品特性やお客様の要求水準を踏まえ、必要十分なレベルのモニタリング項目と頻度を一緒に検討します。

例えば、粒子カウンタによる定期測定と、目視点検や清掃チェックリストを組み合わせるなど、現場の負荷に見合った解決策を提案しています。

また、モニタリング結果をどのように活用するかも重要です。

単に数値を記録するだけではなく、トレンドを把握し、清掃の強化やメンテナンス計画の見直しに結び付けることで、クリーンルームの状態を中長期的に改善できます。このように、環境モニタリングは「監視」のためだけでなく、「課題発見と解決」のためのツールとして活用することが望まれます。

洗浄・消毒手順と使用薬剤の選定

洗浄と消毒は、クリーンルームの衛生管理を支える日常的なメンテナンスです。

厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では、洗浄剤は汚れを除去する目的、消毒剤は微生物を減少させる目的と定義され、それぞれの役割を明確にしたうえでプログラムを組むことが求められています。

この考え方を工場の簡易クリーンルームに適用すると、「どの場所をどの頻度で洗浄し、どのタイミングで消毒を行うか」という課題に対する解決の方針が立てやすくなります。
現場では、洗浄や消毒が人任せになりがちで、手順が標準化されていないという課題も多く見られます。

工場工事センター匠.comでは、床・壁・天井・設備表面ごとに洗浄と消毒の手順と使用薬剤を整理し、作業手順書の形で共有することで、誰が作業しても一定レベルの衛生状態を保てるよう支援しています。この標準化は、担当者の交代やシフト変更があっても、クリーンルームの性能を維持できる解決策として有効です。

また、使用する薬剤についても、材質への影響を考慮する必要があります。

前述のとおり、壁や床の材質は洗浄剤や消毒剤に耐えられることが求められており、薬剤の選定を誤ると表面のひび割れや変色、剥離が起こり、かえって清掃性が悪化する課題につながります。したがって、設置工事の段階で想定される薬剤を確認し、それに適した材質を採用することが、洗浄・消毒の両立を図る解決策となります。

作業者更衣と入室ルールによる発塵・汚染低減

人は最大の汚染源といわれており、作業者の更衣と入室ルールはクリーンルーム運用の核心です。
厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では、更衣手順や作業衣の仕様、交換頻度、無菌区域への入室資格や教育訓練の必要性が具体的に示されています。

この考え方を一般工場向けにアレンジすると、簡易クリーンルームへの入室前に必要な身だしなみや行動を整理し、現場作業員に分かりやすく伝えることが課題解決の第一歩となります。

典型的な課題として、作業衣の着方が統一されていない、帽子やマスクの着用が徹底されていない、私物の持ち込みが多いといった点が挙げられます。

工場工事センター匠.comでは、前室での更衣手順を分かりやすい掲示物や動画などで示し、指導者と一緒に訓練を行うことで、入室ルールの定着を支援しています。
このように、人由来の発塵や微生物汚染の課題は、ルールづくりと教育を組み合わせることで、段階的に解決していくことができます。

また、更衣室や前室のレイアウトも重要です。ロッカーの配置やベンチの位置、汚れた衣類ときれいな衣類の動線などが適切でないと、せっかくの更衣ルールも形骸化し、クリーンルーム内に汚れを持ち込む原因となります。

したがって、簡易クリーンルーム設置工事の計画段階で、更衣室や前室の配置や設備も含めて検討し、人と物の動線を整理することが、入室管理の課題を解決するために不可欠です。

中長期運用を見据えたクリーンルーム工事のポイント

クリーンルームは、中長期にわたって運用される設備であり、その視点を持たずに設置工事を進めると、数年後にさまざまな課題が顕在化します。

厚生労働省医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」では、設備の適格性評価(設計段階の要求仕様書の作成、据付・運転時の確認)、定期的な再評価、変更管理などが重要であるとされています。

この考え方は、一般工場においても、簡易クリーンルーム設置工事の計画・施工・運用の全段階にわたって参考になります。

例えば、将来の生産量の増加や製品の切り替えに対応できる柔軟性を持たせておかないと、数年後に再度大規模な改造工事が必要になる課題が生じます。

工場工事センター匠.comでは、可能な範囲で将来の設備追加スペースや配管・配線ルートをあらかじめ確保し、中長期的な視点で課題を先取りする解決策を提案しています。

また、定期的な見直しのタイミングで、環境モニタリングの結果やメンテナンス記録を分析し、必要に応じてゾーニングや運用方法を修正していくことも重要です。

結論・まとめ

ここまで、工場現場責任者や工場現場作業員の方が直面しやすい課題を軸に、簡易クリーンルーム設置工事とメンテナンスのポイントを、公的機関の指針に基づいて整理してきました。

厚生労働省やPMDAなどが示す考え方を工場に応用することで、単なる「箱もの」としてのクリーンルームではなく、工場全体の衛生管理と品質向上に直結する仕組みとして活用できるようになります。

そして、設置工事と運用メンテナンスを一体で考えることが、長期的に見てコストとリスクを抑える最も確実な解決策です。

工場工事センター匠.comは、実際の工場現場での課題に寄り添った簡易クリーンルーム設置工事とメンテナンスの支援を行っています。

それは、日本全国のモノづくり企業様に少しでもお役立ちしたいという思いから生まれた取り組みであり、一つひとつの現場での課題を共に考え、最適な解決策を積み上げていく活動でもあります。

今後も、現場の声に耳を傾け、より安全で安心な生産環境づくりに貢献していきたいと考えています。

(監修者:吉岡興業株式会社 代表取締役 吉岡 洋明)


【参考資料・関連記事】

・厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準」(厚生労働省告示第96号ほか)
・厚生労働省関連資料「施設基準の規定目的と具体的な仕様例」ほか(構造設備・衛生仕様に関する資料)
・独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」ほか
・厚生労働省「再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」
・独立行政法人等 公募仕様書「クリーンルーム関連設備等の保守点検」


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