会社の悪口をさんざん言った挙げ句、ナガレモノの処理ぐらいしかしていないのに「俺はこの会社のナンバーワンセールスだ」と吹聴していた社員が辞めたあと、のこのこと私たちの会社に営業しに来たことがある。
自動販売機のまえで、やがて私たちの会社を辞めていく社員と団らんしていた彼を見つけたわたしは、「よくうちに来れたもんですね。 いまの会社には大手ユーザーとの取引口座がないから、困ってうちに来たんでしょ。 あれだけうちの悪口を言っておきながら頼ってくるなんて、恥ずかしくないんですか。きみの会社とうちが取引することは10,000%ないからお帰りください」と声を掛けてあげた。
お客様は私たちの会社の財産である。
離婚した元配偶者に自分の財産から慰謝料を支払うことはあるだろうが、私たちの会社を辞めたような輩に私たちの財産を活用させる訳にはいかない。
「こんなところで油を売っていないで、口座を開いてもらえるように、お客様のところに行かれたほうが良いですよ」とアドバイスまでしてあげると、彼は不服そうな顔をして帰っていった。
その不服顔が、なんとも懐かしかった。