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十年以上まえの話になる。
私たちの会社に、ある取締役がいた。
あるとき彼の部下から、「あのひとに『俺はこの会社の取締役だから、言うこと聞かないようなら、辞めさせることも出来るんだぞ』と脅されたんです。あのひとにそんな権限なんてあるんですか」という通報が入った。
調査するとそれは事実だった。
もちろん私たちの会社に、言うことを聞かないことを理由に辞めさせる権利を持つ者はいない。
彼からは電話で、こんな申し出を受けたこともある。
「吉岡興業の代理店のような形で仕事をさせていただいて、利益の一部をいただくような感じで働かせていただけないですか?」と、そんな電話だった。
理由を聞くと、家庭の事情とのこと。
「家庭の事情で会社をお辞めになるんでしたら、うちで時短で働かれたらいいじゃないですか。うちはメーカーじゃないから、ひとつの商売で五割も七割も利益が出る訳じゃないのはよくご存知ですよね。簡単に利益の一部とおっしゃいますが、それなら吉岡興業をお辞めになられて、会社をつくって、お客様に取引口座を開いてもらって、ご自分の手元資金で商売されたらいいじゃないですか」と、弱冠いらつきながら返すと、一年後、彼は辞めていった。
この話とはべつの取締役から、「ぼくは仕入先さんから、独立するんだったら応援するよって言われたことがあるんだ。お客様からも独立するなら応援するよってよく言われるんだ」と自慢されたこともある。
「そんなつまらない話は、◯◯さんが実際に独立したら、ゆっくり聞かせていただきます」と、かなりいらつきながら返すと、そのかたはご病気になり辞めていった。
私たちのような小さな会社でも、お客様も仕入先様も大手で、新規の仕入先様もすぐ一緒に仕事をしてくれる、手元資金も潤沢な歴史がある会社で取締役になると、彼の民度によっては、このような勘違いを起こすことを、私はただ学んだのみである。