マネジメントメッセージ

マネジメント・メッセージ 2025年8月(1/6)

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「経営者って孤独ですよね」と聞かれると、違和感しかない。
孤独を感じるほどヒリヒリとした経営をしていないのかも知れないが、自分自身そんなこともないような気がする。
孤独を感じていない理由は、「自分一人では生きていけない」ことが、自身の腹に落ちているからではないかと思う。
今いてくれている社員の方、そのご家族、お客様や仕入先様、関係各社様がおられるから存在できているという実相を、素直に感じ取れているからではないかと思う。
私がこの会社で、ひとり逆境に立ち向かっていた時でさえ、孤独を感じることはなかった。(非常に辛かったが)
もし仮に、本当に、孤独を感じておられる経営者がいたとしたら、彼は間違った自己洗脳をしてしまっているのではないか。
「経営者って孤独ですよね」と聞かれて、上述のような所感を述べると、「それは社長が、好き勝手できてるからですよ」と言われてしまった。
そんなふうに思っているなら、「経営者って孤独ですよね」なんて聞くなよ、とは返さなかったが。

日本人の場合、全世代のなかで二十代、三十代の若者に、日常で孤独を感じておられる方が多いという。(ご老人ではなく!)
経営者も若者も、間違った自己洗脳をしてしまっているのではないか。
キーワードは、“あって当たり前”という発想にあるのではないかと思う。
社員はいて当たり前、お客様もいて当たり前、仕入先もいて当たり前、コンビニは24時間やっていて当たり前、蛇口をひねれば飲める水が出てきて当たり前、そんな“あって当たり前”という発想では、社員やお客様や仕入先様やコンビニや飲み水の存在に、感謝できるはずがない。
私が入社する前からいた社員は、ひとりを除いて皆辞めた。だから私にとって、社員がいてくれていることは、当たり前のことではない。奇跡的にすら感じている。
私や社員の失敗により、出入り禁止となったお客様もある。お客様も、あって当たり前ではない。これもまた、奇跡的なことのように感じる。
だから、私は孤独を感じないのではないだろうか。
若者にしても、海外を旅してみたら、コンビニや飲み水が当たり前ではないことに気づけるはずだ。二十代、三十代の日本の若者の孤独は、そんな単純なお話ではないのかも知れないが、“あって当たり前”という間違った自己洗脳に、原因のひとつがあるような気がする。