私たちは日々、家庭や職場や世間から、いま出来ていないことを指摘され、私たちが正しい道を行くために、指導される。そんなとき私たちは、「あとでやるわ」、「もっと言い方考えてや」、「うるせえな」、そう口に出さずとも思ってしまう。

道理では正しいとわかっていても、素直に「ハイ、そのようにします！」と言えないのは、『世の中は、ひとは、道理や道徳だけでは動かない』という事実の確たる身近な証拠だろう。

私たちを指導する側にしても、「このひとは何回言ってもやらへんな。アホちゃうか」、そう口に出さずとも思いもするだろう。だからと言って、指導を受けている私たちが、ほんとうにアホかというと、そうではない。『道理や道徳だけでは、ひとは心やからだが動かない』、それだけのお話しだ。

道理や道徳以外に、まだ大切なことがあるに違いない。世の中やひとを動かす何かがあるに違いない。それがわかれば、私たちは皆、正しい道を行くことができるだろう。それが何であるかを知るために、足りない私たちは、日々命をいただいて生きているのだと思う。