マネジメントメッセージ

マネジメント・メッセージ 2021年5月(5/9)

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役職が上がれば部下の数が増える。たとえば、主任より係長のほうが部下の数は多い。係長になれば主任も彼の部下なのだから、当然の話だ。

部下の数が増えると、こころもからだも忙しくなる。
二人の部下がいたら関係の線は、上司と部下、上司ともうひとりの部下、そして部下同士の三本になる。部下が一人増えて三人になれば、関係の線は六本になる。
部下が一人増えただけで、関係の線の数は倍になるのだ。
役職が上がれば部下の数が増え、関係の線の数は増えた部下の数以上に増えるのだから、役職者はこころもからだも忙しくなるという訳だ。

しかし昔の私たちの会社には、このことが分からない、もしくは分かろうともしない方達がたくさんいた。
役職が上がれば面倒なことは下の役職者がしてくれるのだと、信じて疑わない方達がいたのである。
彼らの口癖は、去る者は追わず、だった。そんな役職者に、求心力などつくはずもなく、よくある話だが、彼らは社内でカラ威張りするばかりだった。

いまの私たちの会社に、役職が上がるとこころもからだも忙しくなることを分かっていない、もしくは分かろうとしない者はいない。
だが将来、このことが分からない、もしくは分かろうともしない役職者が現れないとも限らない。
ダメ上司を間近に見て恥ずかしい思いをしてきた私たちなら大丈夫だが、ダメ上司を見て恥ずかしい思いをしてきていない世代が役職者になったとき、その彼らがダメ上司となってしまうかも知れないと危惧している。
ダメ上司を発生させてしまったら、まず私は、自分の見る目のなさを猛省し、従業員に謝罪をする。
そしてダメ上司を降格させ、もう一度全社員で理念を学び直し、会社を建て直しにかかる。
このように、最悪を想定しながらベストを尽くすのが、私の仕事なのである。