マネジメントメッセージ

マネジメント・メッセージ 2018年12月(2/2)

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むかしはつまらない社員がいた。
それを今蒸し返せるのは、今そういったつまらない社員がいないからだ。
また、今あえてそれを皆と共有しようとするのは、そういったつまらない社員を生まない風土を持続させていく意志があるからだ。

たとえばこんなつまらない社員がいた。
入社した時分、私は電車通勤だった。当然会社からは交通費をもらっていた。
当時、会社には3億の未回収金や8000万の不良在庫があり、それに関わる一部営業マンの不正経理処理も山積みの状態だった。
入社してから一年間は連日、日中は営業マンや仕入先様やお客様にヒアリング、夜はそれらをまとめあげ対策を練っていたため、終電を越えることが当たり前だった。だから社有車で帰宅していた。
あるとき社員から、「交通費をもらっているのに車で帰るのはおかしいって言ってる社員がいますよ」と教えてもらった。こいつが言うとんのやろな……と思いつつ、こんなアホばかりだからこんなことになっているのだと確信した。

ほかにもこんなつまらない社員がいた。
「あなたが社長になったら、ノルマを持った営業マンとして営業して欲しい」と、当時の営業課長が言ってきたことがあった。この男は前述した不正経理処理を行っていた張本人だった。まるで不正経理処理せざるを得ないことが営業マンになったら分かるといった口ぶりやな……と思いつつ、「それならあなたのメインのお客様を全部もらいます」と返答しておいた。

つまらない社員たちを見ていて感じたのは、彼らが勘違いをしていたことだ。
私たちのお客様や仕入先様は、一部上場の大手企業が圧倒的に多い。
日々そのような環境で働いていると、自身を客観的に見れていないひとは、自分も大手企業の社員のような感覚に陥る。また、一部上場の仕入先様にお客様として扱われることで、自分を客観的に見れていないひとは、とんでもない考え違いを起こしてしまうのだ。
「君が独立するなら、応援すると言ってくれた仕入先さんやお客さんがいたんだ。でも俺はこの会社で働いているんだ」と私にいちいち言ってくる幹部社員もいた。なに調子こいたこと言うとんねん……と思いつつ聞き流していたが、この男が色々な場所で色々な方々に、こんなことを言っているのだと思うと恥ずかしかった。

経営者と従業員はちがう。ちがう立場の両者が融和するから会社はうまくいくのであって、経営者と従業員をおなじ立場でくくってしまえば、無責任なエアポケットしか生まれない。
どうしてもおなじ立場で、おなじ権利を主張したいなら、おなじ義務も背負わなければならない。
まあよくあのようなつまらない社員がいなくなってくれたものだ……とあぐらをかかずに、私たちはこれからも精進していく。