マネジメントメッセージ

マネジメント・メッセージ 2014年7月

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仕事を進めてゆくうえで、「あいづちのハイ」ほど最悪なコミュニケーションはない。
その「あいづちのハイ」が、分かりましたの「ハイ」なのか、分かってもいないのにとりあえず言っているだけの「あいづちのハイ」なのか、相手には分からないからだ。というよりも、相手はその「あいづちのハイ」を、分かりましたの「ハイ」だと受け取ってしまうのが普通だろう。
しかし、やたらと「ハイ」を連発するひとの「ハイ」は、残念ながら、分かってもいないのにとりあえず言っているだけの「あいづちのハイ」であることが多い。

「あいづちのハイ」は、私たちのような営業会社にとって相当致命的だ。
営業会社つまり商社は、お客様と仕入先様のあいだに入って仕事をしている。
あいだに入って仕事をしている私たちが、「あいづちのハイ」を連発していたらどうなるだろう。
なにか不測の事態が起こったとき、お客様と仕入先様のあいだに入っている私たちが、分かってもいないのにとりあえず言っているだけの「あいづちのハイ」を連発していたなら、お客様と仕入先様の双方は混乱に陥ってしまうだろう。
考えるまでもなく、私たちはお客様と仕入先様の双方を失望させ、双方からの信用を失ってゆくだろう。

「あいづちのハイ」にはあとふたつ、最悪な効用がある。
「あいづちのハイ」を連発するひとは、相手の話しを聞いていないことが多い。「ハイ」を言うのに集中してしまうあまり、相手の話しの内容が頭に入ってゆかないのだ。
学生時代、先生の話しにやたらとうなずいている生徒に限って成績が悪かったことをよく覚えている。この生徒もまた、うなずくことに集中してしまうあまり、先生の話しの内容が頭に入ってゆかなかったのだろう。

「あいづちのハイ」の最悪な効用のふたつめは、「あいづちのハイ」を連発していると、そのひとの「言い訳脳」が強化されてしまうことだ。
「あいづちのハイ」とは要するに、分かってもいないのに分かったふりをしてやり過ごすごまかしだ。ごまかしとはつまり、言い訳だ。
『きみ、あのとき「ハイ」と言っていたではないか!なんだったんだ、あの「ハイ」は!』と怒られても、「言い訳脳」が強化されているひとは小さく一言、『ハイイ・・・』と答えるだろう。 これこそ言い訳(ごまかし)の極みとも言える最悪なコミュニケーションだ。

日々の「あいづちのハイ」が、日々「言い訳脳」を強化してゆく。「言い訳脳」が強化されてしまうと、恐ろしいことに、当人がほんとうは思ってもいないような言い訳(ごまかし)が、反射的に出てしまうようになる。
たとえばこんな具合にだ。
『このまえ頼んでおいたことの確認なんだけど、3頁目にチェックが入ってただろ、あれについてなんだけど・・・・・・えっ!?見てないの!?』と上司が怒りはじめても、「言い訳脳」が強化されているひとは、『あ、そこまでは見てませんでした・・・ハイ』と答える。上司は当然内心、『そこまでってどこ?それって言い訳?そこまでやるのが普通だろ、俺が指示したことを勝手にハードル下げてごまかしやがって、あ~、このひとめんどくせ~』と思う。見ていないのなら、『すみません、見てませんでした。いますぐ見ます!』と答えるべきなのだが、「言い訳脳」が強化されているひとはこんな時、『そこまでは見てませんでした・・・ハイ』と、つい答えてしまう。彼らには、指示されたことについて勝手にハードルを下げたつもりなど毛頭ない。毛頭ないのだが、面白いくらい彼らはついそう答えてしまう。
こんななんとも言えないような最悪なコミュニケーションをしてしまうようなひと、つまり「言い訳脳」が強化されているようなひとは、間違いなく上司に干されてゆく。

私たちの会社は、「あいづちのハイ」を撲滅する。分かっているのか分かっていないのか、やっているのかやっていないのか、これを明確にし、より良いコミュニケーションをとり合える会社にしてゆく。
「あいづちのハイ」を撲滅するだけで、お客様や仕入先様からの信用は増し、よりお役立ちできる私たちへと成長できる。
仲間同士の意思疎通も迅速になり、より楽しく仲間と仕事ができる。
私はそう強く確信している。